戦国の世を、人々が泥まみれになってでも生き抜く様を描いた作品だと思います。
中でも菊千代の生き汚さは群を抜いていました。百姓の生まれゆえに、百姓が落ち武者狩りを行っていたのを見ても驚かず、逆に百姓のずる賢さを露わにして見せました。そして侍達に認めて貰いたいがために手柄を急いでいた様子は、最早侍でも百姓でもなく、敵である野伏にも似ていました。
しかし岡本勝四郎の青春が、この世の希望を見せてくれます。彼が家を飛び出して初めて見た山の自然、村娘との交流は、ストーリーに清涼感を与えてくれます。
侍達の中でも時局を冷静に見極めていたのは、島田勘兵衛でしょう。彼は軍事に長けているだけではなく、勝四郎の良き師、侍達の中心人物として、リーダーシップを発揮していました。その一方で、最早侍として戦場で死ぬことも、名を挙げて一国一城の主となることも叶わないことから、生きることを斜に構えて見ている感じもしました。
他にも様々な百姓や侍達が登場し、それぞれに見せ場があるので、群像劇のようにも思えました。人々の生き様を、百姓と野伏が争う村に凝縮して見せており、決して飽きさせないストーリーが素晴らしかったです。